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「なに、それ。何歳のとき?」
「私が十歳のときですね。まあ補足すると夜に道端を歩いていたときに奏様のお父様に拾われて、現在奏様の執事をやらせて頂いております」
……知らなかった。
だから、奏がいつもぼやいているときになにも言ってこなかったのか。
いや、待て。
十歳なんて、まだまだ子供じゃないのか?
だったら、なんで冬河の両親は冬河のことを捨てたのだろうか……
「なんで捨てられたの?」
「さあ。私も詳しくは伺っておりませんが、聞いた限りでは子育てが面倒くさくなった、とのことです。育児放棄、とも言うんでしょうか」
「……」
「ですので、私は奏様のことを可哀想とも大変だったとも思いません。寧ろ、辛い思いをしていなくて良かったと思っています。目の前で自分の親が『死ね』と言っているところなんて見たことないでしょう?だから、ご安心を」
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