執事は意地悪

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……いやいや。どう考えても安心できなくないか? 「待って。冬河は、死ねって言われたの…?」 「ええ。そんなの日常茶飯事でした。ご飯もろくに食べていませんでしたし、学校が唯一気が休まりました。今ではすっかり薄くなりましたが、よく殴られて傷がついたり跡が残ったりしたものです」 「……」 「ですが、奏様はそういうことをされていないでしょう?私はそれだけで安心です」 「……辛くないの?」 淡々と語る冬河がなんだか辛そうに見えて、奏は思わずそう尋ねてしまった。 「……それは、どういう意味でしょうか」 「そのまんまだよ。あ、辛くなかったの?の方がいいか」 奏が訂正を入れると、冬河が少しだけ笑った。 「奏様に心配されるなんて、私もまだまだですね。平気ですよ。どうせ私は家族の一員ではなかった。と思っておりますので」 「……そう、なの?」 「そうだって言ってるでしょう?奏様に心配されるとこちらも気が狂うんですよ。いつも通り強がって頂かないと」
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