意地悪執事とわがままお嬢

お嬢はわがまま

「奏様。朝食の準備が整いましたので、起床してください」

冬河は、毎日決まった時間に奏を起こし、世話をする。

「うーん……あと五分……」

こうやって言うのはもう奏の癖だ。当然、執事である冬河は奏を起こす方法を知っている。

「では、もしこれで奏様があと五分眠られて、準備が遅くなったとしても私は一切責任は負えないのでそこはちゃんと……」

「わーわー！起きる！起きるからっ……」

慌てたような声が聞こえたあと、豪華な扉が勢いよく開く。

こうなることも想定していたため、当然冬河は扉から少し距離を置いていた。

「おはようございます。では、ご案内いたします」

「んー……」

奏が目を擦りながらそう返事するのを見てから、前を向きリビングへと向かう。