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河合先輩は、サラリとさらに凄いこと口に出してきた。
えっ?先輩……どっちなんですか!?
気難しいのか、そうじゃないのかぐらい
ハッキリしてほしい。
そうではないと不安しか残らない。
「それで……注意点だが……小野木。
メモを取るのは、いい事だ。
だが、あまりメモばかり頼るなよ?
お前は、それでよく失敗するんだから」
「うっ…すみません」
確かにそうなのだ。
私は、マニュアルやスケジュールがないと
何も出来ない。それ以外の事が起きるとテンパって
失敗ばかりしてしまう。
臨機応変というのが、まったく出来ない。
要領が悪く、ドジだと自分でも分かっているのだけど
それでも細かくメモを取り
一応形だけでも理解したつもりだった。
そして不安が残るまま数日後。
新しい担当に初めて会う事になった。
マンションまで来ると深呼吸を何度も吐いてから
インターホンを押した。さすが、いくつも
ベストセラーを出している人気作家さんだ。
マンションも高級感が溢れており心臓がバクバクッと
さらに高鳴りだしてうるさかった。
『はい?』
「あ、あの……クローバー社から
今日から担当になりました。小野木涼花と言います」
「…あぁ、河合さんの代わりか。
ちょっと待ってろ」
そう言うと音声が切れた。
ちょっと声が裏返ってしまったが何とか言えた。
担当の先生の声は、若くて低い感じのカッコいい声だった。
って事は、やっぱり若い人なんだ?
4歳の息子さんが居ると言ってたものね。
すぐにオートロックのドアが開いた。
私は、緊張しながらも中に入りエレベーターに乗り込んだ。
いよいよ……会えるのね。
上の階に上がるともう一度インターホンを鳴らす。
ガチャッすぐに開けてくれた。
だが蓮見先生の姿に驚きを隠せなかった。
あれ?部屋間違えた?いや……何度も確かめたし。
だが出て来てくれた蓮見先生は、外見が何というか。
ロックでもやっているような感じの人だった。
190cmもありそうな長身でスラッとした
モデル体型にロック系の黒い服装。
耳には、ピアスをいくつか付けてアクセサリーを飾り
色素の薄い銀髪に綺麗な切れ長の目。そして何より
芸能人も驚くほどの美形だった。
思わず見惚れてしまうほどだ。こんな人が本当に
あのベストセラー作家の蓮見真夜先生なのだろうか?
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