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先生が挨拶をするとチラリと私を見る保母さん。
あ、えっと……。
私は、慌てて名刺を取り出して挨拶をした。
「はじめまして。私、蓮見先生の
新しい編集担当になりました小野木と言います。
よろしくお願いします」
「……彼女は、クローバー社に勤めていて
もし、俺が迎えに来れない場合は、彼女が
睦月を迎えに行くと思いますのでよろしくお願いします」
先生が、補足するように説明をしてくれた。
あぁ、挨拶しかしていない。
肝心な部分を抜けてしまっていた。恥ずかしい。
だが保母さんは、理解してくれたようだ。
「あぁ、クローバー社の。はい。
こちらこそお願いします。
でしたら書類をお持ちしますので、こちらで手続きを」
そう言い案内をされた。手続き?
意味が分からずに案内されて手続きを済ませることになった。
最近の幼稚園は、色々と厳しいのね。
何とか書類が終わり戻ると先生は、ここの制服を着た
小さな男の子を抱っこして待っていてくれた。
あれが息子さんだろうか?
「お待たせしました」
慌てて戻りチラッと抱っこしている男の子を見る。
するとまた衝撃を受けた。か、可愛い…!!
父親の先生似の顔立ちに色素の薄い銀髪。
切れ長ながら大きな目。まるで、蓮見先生が
小さくなったかのようにそっくりだった!
そして何より可愛いというか美形だ。
白と青いラインの制服と白い帽子がよく似合っている。
ジッと私を見ている男の子に気づいた先生。
「あぁ、紹介する。 コイツが息子の睦月だ。
睦月。このお姉さんは、河合さんの代わりに
家に来る事になった。小野木涼花だ。挨拶は?」
そう言って説明をしてくれた。
睦月君は、ジッと無表情で見てくる。
バサバサの長いまつ毛だなぁ……。
それに綺麗な瞳で吸い込まれそうだ。
そうしたら口が動き出した。
「……藤崎睦月。4歳です」
「こ、こちらこそよろしくね。私は、小野木涼花。
涼花お姉ちゃんって呼んでね?」
ハッキリとした口調で自己紹介をしてくれた。
声も可愛らしい。嬉しくなり笑顔で接する。
だがそれ以上話してくれることもなく無表情のまま
ただ私を見つめる睦月君だった。……あれ?
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