午前0時、きみの影を追いかけて

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「僕の自己満足のため。正義感って言えば聞こえはいいけどさ、今の時代、そういうのってなんか嘘っぽいじゃん? マイナスな言葉で自分を下げてみれば本物っぽくなるし、ウケがいい。相手に寄りけりだけど」  そう真面目くさった言い方をした後、彼は照れくさそうに吹き出した。  変なの。でもまぁ、分かる気はする。それに、下手に気休めの言葉をかけられるよりは負担がないからいい。  でも多分、彼の言動が「キレイな正論」じゃないから共感できてしまうだけなんだろう。  私が見ていると、彼は得意に口の端をきゅっと結んだ。そして、真面目ぶった顔つきになる。 「人が話す言葉はロウソクだ。本音を蝋で固めてしまっている。キレイに隠してしまってる、ね。でも、そんなキレイで真っ白なロウソクに火を灯してみれば、蝋は溶けるけど芯は残ったままになる」 「はぁ……何、そのたとえ」 「え、良くない? 今度、レポートで使いたいんだけど」  何が面白いのか、クスクス笑いながら言う。それがどうにも伝染してしまい、私も思わず吹き出した。 「なんか、気取ってすべってる感じが気持ち悪い」 「そうか……うーん……いいと思ったのに」  少し残念そうにうつむく。でも、すぐに顔が上がった。 「分かった、やめよう。面白くない文章をダラダラ書き連ねることにするよ」     
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