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午前0時、きみの影を追いかけて
そう言えば、今日は名俳優の訃報があった。そして、次のニュースでは動物園でパンダの赤ちゃんが生まれたって。
ふと今朝のニュースを思い出した私はその正反対な今日の出来事に、くはっと意味のない笑いをこぼした。
広い世界で、何かが生まれて誰かが死んでいく。始まって終わる。
朝と夜も同時に訪れている。私の世界が夜でも、どこか見知らぬ誰かの世界は朝をむかえているんだ。
壮大だね。
ところで、名俳優の死はたくさんの人に悲しみをもたらしたようだ。クラスの何人かがLINEだったりTwitterだったり、Yahooなんかで知ってざわついてた。
自分の死を悼む人がいる。駆け巡ったニュースによって、たくさんの人が悼む。そうして彼は偉大になっていく。
死んでも名前が残るんだから有名人は得だな。それに弔ってくれる人が大勢いて。
さて、私が死んだら一体何人の人が悲しんでくれるんだろう。悼んでくれるんだろう。誰の記憶にも刻めないちっぽけな私だから、人知れずひっそりと消えるしかないのかも。
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