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あっさりと切り捨ててしまった。そこには嫌味が含まれていて、私はどうにも愉快な気分。だから、私の口は少し調子に乗ってしまう。
「あんた、真夜中に女の子の後を追いかけて家に帰すのが趣味なの?」
自己満足のためにご苦労なことだ。
問えば、彼はまたも考える。そして口ごもりながら言った。
「ボランティアってやつかなぁ……でも、男って女の子から信用ないからね、そこが悩みどころ」
「それは……仕方ないよね、世の中物騒だし。犯罪で捕まるのは男ばっかりだし」
「そして、女性は男に比べて力が強くないからそういう風に関係が自然と差を生み出すんだよね。嫌になるねー、ほんと」
「まったくだよ。あーもう、面倒くさい」
人を信用できない世界だから、私は辟易してしまうんだ。壮大に。大げさに。
こうして滑らかに話していると、うっかり口が滑りそう。でも、夜の空をぼんやり眺めていれば「まぁ、いっか」と心の隙間が開いていく。
「もう日付変わっちゃったけどさ……私、誕生日だったんだー」
ポツリと呟くと、横にいた彼は「へぇ」と驚きを表す。
「おめでとう。一日遅れだけど」
「いやいや、全然めでたくないんだよ、これが。だって、私の誕生日は呪われてるもん」
「呪われてる?」
それはどうにも不釣り合いな言葉だったろう。だから、彼は首をかしげて眉をひそめた。
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