午前0時、きみの影を追いかけて

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 だから私は、もし、今から大人の男に襲われても「自己責任だ」って納得できるくらいの器量はある。  あぁ、もう……くだらねー脳内議論。  愚痴愚痴、ぐちぐち。嫌になるけどやめらんない。  別に死にたいわけじゃないけど生きたいわけでもない。ただ、息してるってだけ。流れに沿って、生きているってだけ。  夜ってなんだか不思議なもので、朝の爽快を思い出せない。いや、爽快だった朝なんてないけど、気持ちのあり方がなんか違う。自棄になるっていうのか……ヤケか。あぁ、そうか。そうなんだろう。  勝手に沈んで、勝手に憂いて、勝手にしている。面倒なヤツだな、私。  夜の空気は冷たいから、それを吸い込めば頭の中も夜色で満たされていく。まっくらけの思考回路。なんだ、それは、メンヘラってやつか。笑えない。  駅前のロータリーは、駅構内の光を拒絶するような暗色だ。光の中には行けない私とおんなじよう。ちらほらと人がいて、どこかからか下手な歌が聴こえてくる。ギターを掻き鳴らして、私の思考みたいな歌を歌ってる。私の代わりに歌ってくれてる。でも、聴きたくないから足早に逃げた。  そんな足は人気のない場所に私を運ぶ。頭上では騒音と風を起こしながら電車が人を乗せて走っていく。     
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