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Tシャツとジーンズ、そして黒のリュック。やっぱり若い人で、私より年上だろうなって思うのは髪の色が明るいから。まぁ、同じクラスにも金髪はいるけども。
「自己責任、か……頑なだね」
彼は苦笑を漏らした。そこには、なんだか呆れと諦めがある。
「送ってあげようかって言いたいとこなんだけど、見ず知らずの人に連れてってもらうの、嫌でしょ」
「……まぁ」
諭されるようなのが癪だけれど、ほかに言葉が見つからない。そのふてぶてしい返事に、彼はフッと口を緩めるように笑った。
「だったら、君が帰りたくなるまで待ってるよ」
「はぁ?」
何を急に、そんなこと。
とっさに返す言葉なんてなくて、私は情けなくどうしようもない。途端に勢いをなくした私に、彼は冷やかすような笑いを上げた。
***
ぼんやりと座り込んで、どのくらい経ったんだろう。スマホの画面をちらりと見てみれば、午前0時を過ぎてしまっていた。それに気がつけば、私は少しだけ安堵する。
もう今日が終わった。明日に変わったというのに、外はまだまっくらけ。昨日と明日の境目が分からない今日。なんでもない時間に変われば、心はわずかに軽くなる。
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