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「ここにいるといい。」
そう、ハチが甘やかな言葉をハヤにかける。それはとても魅力的な響きだった。
「ふふ、いい考えだけど、」と、ハヤが言うと、ハチはその先を言わせまいとめずらしく口を挟んだ。
「行かなくていい。行くな。ハヤが壊れる。」
「ちょっとそれ、私がぎゃんぎゃん泣くってこと?もう、子供じゃないんだから………。」
そう強がってみせても、涙は止まらなかった。
翌日から、ハヤは学校に行かなくなった。
もちろんハヤのシッターを続けるハプトが黙っている筈もなく、また両親も黙っていなかったが、ハヤはハチからの受け売りの言葉を使って何度だって言い放った。
「あんな苦痛を味わわなきゃならない場所に行くのはもうまっぴら。私の心が壊れてしまうから、私、学校へは行かない。」
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