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「おかえり、ハヤちゃん。」
「ただいま、蔦さん。」
すれ違う研究員に挨拶をしながら足を止めず、ハヤはそのまま縦横無尽にセンター内を駆け巡ったーーーーどの道を進めば足止めをくらうか、ハヤはわかっていた。
誰も立ち入らないその場所は、改装中のシャッターシールドが天井から床に向かって閉じたまま、ハヤの記憶する限りでは一度たりとも改装作業に移った様子はなかった。
そもそも改装作業や設備の点検などがあっても、こちら側の棟に作業員が足を踏み入れることなどなかった。勿論、10歳の少女が記憶する限りは、だが。
学校指定の鞄を背負ったまま、ハヤはつい昨夜見つけたばかりの部屋の扉の前に立った。
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