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ハヤは、鞄を背負い直し、扉に両手をついてみた。一枚扉は自動ドアなのか取っ手が付いていないが、壊れているのか押しても引いても開かない。
冷たい扉に頬っぺたをくっつけながら、耳をすませてみる。
しかし扉が分厚いせいなのか、なんの音も聞こえてこない。
「だれかいますかあ。」
そっと、小さな声で壁の向こうに問いかけてみる。
分厚い扉に耳をつけて、
「だれかいなかったら、入りますよぉ。」
応答のない扉にそう断り、ハヤは鍵版を見上げた。剥がされたように剥き出しの盤面の痕跡がある。
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