1.うまれて、うまれる

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ハヤは、鞄を背負い直し、扉に両手をついてみた。一枚扉は自動ドアなのか取っ手が付いていないが、壊れているのか押しても引いても開かない。 冷たい扉に頬っぺたをくっつけながら、耳をすませてみる。 しかし扉が分厚いせいなのか、なんの音も聞こえてこない。 「だれかいますかあ。」 そっと、小さな声で壁の向こうに問いかけてみる。 分厚い扉に耳をつけて、 「だれかいなかったら、入りますよぉ。」 応答のない扉にそう断り、ハヤは鍵版を見上げた。剥がされたように剥き出しの盤面の痕跡がある。
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