1.うまれて、うまれる

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ハヤはこの扉が上にもちあがってひらくのかそれとも下から、横からスライドしてひらくのか、見当もつかなかった。 しかしどんなコードを考えたってどうにも開かない扉は、力技でなくては開かないのだろうとハヤは思った。 埃まみれのプレートを見上げ、ハヤはあっとなった。 扉を叩いた衝撃で埃が舞い落ち、プレートにはただ擦り切れた一字だけ残っていた。 "8" そのアラビア数字は、増改築を繰り返してきたこのセンターに唯一存在しない研究室のナンバーだった。 母は、「増改築をを繰り返したせいで8番だけ抜けちゃったようよ」、とハヤに言ったことがある。 その8番の研究室が、この開かずの間なのだ。
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