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ハヤはこの扉が上にもちあがってひらくのかそれとも下から、横からスライドしてひらくのか、見当もつかなかった。
しかしどんなコードを考えたってどうにも開かない扉は、力技でなくては開かないのだろうとハヤは思った。
埃まみれのプレートを見上げ、ハヤはあっとなった。
扉を叩いた衝撃で埃が舞い落ち、プレートにはただ擦り切れた一字だけ残っていた。
"8"
そのアラビア数字は、増改築を繰り返してきたこのセンターに唯一存在しない研究室のナンバーだった。
母は、「増改築をを繰り返したせいで8番だけ抜けちゃったようよ」、とハヤに言ったことがある。
その8番の研究室が、この開かずの間なのだ。
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