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「ハヤ、ハプト!なにをやっているんだ、さっさと避難しないか!」
「お父さん、どうしてだれも止めないの?!あの人が焼け死んじゃう!」
「ハヤ、いいか、あれは人間じゃないからいいんだよ!」
ハヤは、父とバイオロイドの手を乱暴に振りほどいた。小柄な身体を煙と炎の中に滑り込ませ、この騒動の元凶の元まで止まることなく走っていった。
「どうして、そんなひどいこと言うの、お父さん…。」
獣とも人ともいえないような咆哮が建物を揺さぶり、ハヤの鼓膜にビビと響く。
「ハチ!ハチでしょう?!!!」
その巨大な姿が、暗闇が吐き出す炎と瓦礫の中からずずりと這い出てくる。緑色の二つの光が爛々とこちらをとらえている。
「ハヤ!!だめだ!」
「離して、お父さん!!ハチが焼け死んじゃう!」
「焼き殺さなきゃいけないんだ…あんな廃棄物、なんで今更出てきやがったんだ…!」
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