1.うまれて、うまれる

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「はいき…?はいきって、どういうこと、お父さん。」 父親はハヤとハプトの肩を外に押し返すようにして、腰に下げたバイオロイド用の麻酔銃の青い銃身に手を伸ばした。娘の肩だけは離さなかった。 「あれは人類の失敗作なのに………これが効くとは思えんが、いいか、父さんが撃ったらすぐに走るんだぞ!」 「や、やめてお父さん!どうしてハチを撃つの!?ハチはいつもはああじゃないの、麻酔銃で死んじゃったら、いやだよ!」 ハヤは父親の銃を持つ太い腕にしがみついた。 かつてとてもおとなしかったハヤの”友”が、再び咆哮を上げた。 「………ハヤ、……………まさか、お前まさか。」 父親の額から、顎にかけて、ぽたぽたと汗が流れてハヤの両腕に落ちる。 「あれを起こしたのは、お前なのか。」 娘を抱く父の腕が、絶望に力が緩んだ。 「ハチはずっとハチだったわ!!今だってハチはハチだもの!!あそこに閉じ込められているより、外に出た方がずっといいわ!!」 迫り来る緑色の瞳を抱きとめようと、ハヤは父から離れ、腕を伸ばした。 バツッ、と、なにかが切れる音が響いたようにハヤは感じた。 途端に左腕じゅうにザグザグに走り抜ける、猛烈な熱。 ハチの綺麗なふたつの瞳が、眼前で爛々としている。
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