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なにが起こったか、ハヤは分からなかった。
「さぞ美味かろう、大事な友の身体の味は。」
耳にしたことのない、嘲笑を含んだ沼のような暗い、低い声がした。それからどうしてかハチは動かなくなり、ハヤの身体は知らない男に抱えられていた。
腕だけだった熱が、身体じゅうを駆け巡り頭が沸騰しそうなほどに熱くなっていく。それがやがて耐えがたいほどの痛みに変わり、ハヤはあふれる血液の量を傍目に意識が遠のいていった。
建物は絶えず炎と崩れ落ちる鉄筋に形を崩していき、道は崩れ落ちていく壁で塞がれていった。
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