1.うまれて、うまれる

8/77
前へ
/120ページ
次へ
ハヤの両親はこの好奇心を危惧して、あえて「入ってはいけない」という部屋を設けなかった。 つまり、ハヤの「知らない部屋」があるということになる。それはいくつも存在したが、ハヤも成長するにつれ「入ってはいけない理由」と「ガラス越しに眺めて後から説明を乞う」ようになっていった。 そのおかげで、「入ってはいけない部屋」の存在は、今日までハヤが目の前にするまで「知らない部屋」だった。 その日、小学校からセンターに帰ってきたハヤはハプトの出迎えをすり抜けて(ハプトはやたらとハヤの世話をしたがりだった)、昨夜見つけた「知らない部屋」めがけてセンター内を走った。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加