第1章

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「おばあさん…どこに行ったんじゃ」 はぁ… まただ、お父さんはお母さんが3ヶ月前の火災で亡くなった事を忘れている… 私は半ば呆れ気味に、 「お父さん!!お母さんは火事でなくなったでしょ…」 「いやぁ、いやぁ、今日はおばあさんと散歩に行く約束をしとるんじゃ」 あの火事以来、これの繰り返しだった… そんな私も母を火事で亡くして以来、少しばかり参っており、火事の2ヶ月後に仕事を辞め、貯金を切り崩しながら父親と妻、そして息子の4人でひっそりと暮らしていた… 息子も、あの火事以来、おかしな事をたまに口にする… 昼寝の後に、 「おばあちゃんと散歩に行く約束をしたー」 なんの事やら… 妻は至って冷静だった… お父さんは軽い痴呆… 息子は夢でも見ていたのだろう…おばあちゃんっ子だったからとの事…
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