0人が本棚に入れています
本棚に追加
「おばあさん…どこに行ったんじゃ」
はぁ…
まただ、お父さんはお母さんが3ヶ月前の火災で亡くなった事を忘れている…
私は半ば呆れ気味に、 「お父さん!!お母さんは火事でなくなったでしょ…」
「いやぁ、いやぁ、今日はおばあさんと散歩に行く約束をしとるんじゃ」
あの火事以来、これの繰り返しだった…
そんな私も母を火事で亡くして以来、少しばかり参っており、火事の2ヶ月後に仕事を辞め、貯金を切り崩しながら父親と妻、そして息子の4人でひっそりと暮らしていた…
息子も、あの火事以来、おかしな事をたまに口にする…
昼寝の後に、
「おばあちゃんと散歩に行く約束をしたー」
なんの事やら…
妻は至って冷静だった… お父さんは軽い痴呆…
息子は夢でも見ていたのだろう…おばあちゃんっ子だったからとの事…
最初のコメントを投稿しよう!