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【ボーカル募集します】
芽琉「バンド・・・ですか?」
“TRAIN-TRAIN”の演奏後、美咲から『三人でバンドを結成してはどうか』という提案があった。
美咲「ええ。個人個人で活動するのもいいなと思っていたけど、三人の演奏を聴いたらなんかもったいない気がしたからね」
浩司「それは俺も思う。三人ともせっかくいい素質があるんだし、それをもっと活かさなきゃな」
瑠奈「だけど演奏会につぎ込める時間があまり取れないと思うよ?」
浩司「アマチュアのうちはそれでいいんだよ…そうだ、ボーカルも入れたほうがいいな。そうすりゃ三人の演奏がより引き立つ」
美咲「名案ね。SNSで募集したらそれなりに集まると思うわよ?」
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芽琉「“【拡散希望】 バンドを結成するにあたりボーカルを募集します。募集期間は来週いっぱいまでで唐津市近辺にお住まいの方だとなお良し。参加をご希望の方はDMにてご連絡ください!”・・・っと。そんじゃ、送信!」
数日後。
芽琉は自身のツイッターにボーカルを募集する旨をツイートした。
理香「メル姉、どう?」
芽琉「うん、いまツイートした。しかしまあ、これで本当に集まるのかなあ…?」
瑠奈「そう言わず気長に待ちましょう。“果報は寝て待て”という言葉もあるわ」
半信半疑の芽琉を瑠奈が諭すように言った。
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メンバーを募集してから早くも一週間が過ぎた。
芽琉「はあ……今日もDMはなし。明日で募集期間が終了しちゃうよぉー!」
芽琉は募集をかけたその日からずっとツイッターをチェックしているのだが、応募してきた人は未だ一人もいなかった。
「今日はもう諦めて寝よう」と芽琉が思ったそのとき、スマートフォンに一件の通知が入った。
芽琉「ん?・・・ええっ⁉︎」
芽琉は慌てて瑠奈の部屋に走っていった。
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瑠奈「応募があった?」
芽琉「うん、ほら!」
芽琉がスマートフォンの画面を見せる。そこにはこう書いてあった。
『めるぽさん初めまして。唐津市在住の「ゆきち」こと河原里穂と申します。ボーカル募集のツイートを見て応募しました。もしよろしければ詳細などお聞かせ願えませんでしょうか?何とぞよろしくお願いします!』
芽琉「ど、どう返せばいいのかな?」
理香「どう返せばも何も“了解しました”でいいんじゃないの?ボーカルを募っているのは事実なんだしさ」
瑠奈「私もそれでいいと思うわ」
芽琉「うん、そうするね。ええと・・・。」
『初めまして、“めるぽ”こと西川芽琉です。ご応募いただきありがとうございました。具体的な内容を説明したいので、明後日の土曜日にイオン唐津ショッピングセンター内のミスタードーナツでお話ししませんか?返信お待ちしています。』
芽琉「……よし、送信!」
しばらくすると『いいですよ。それでは明後日、唐津のイオンでお待ちしてます!よろしくお願いします(^^)』と返事がきた。
芽琉「OKだってさ」
理香「お疲れメル姉。明後日が楽しみだね!」
瑠奈「ええ。河原里穂さんか……どんな人かしらね」
理香「うーん、優しい人だといいけどなあ」
三人とも土曜日が来るのを楽しみにしていた。
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