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うちの猫は真夜中になると言葉をしゃべる
うちの猫は真夜中になるとベランダで猫の集会を始める。
祖母から形見のように引き取った猫の名は金治。
猫の種類なんてわからない。ただ金治はふわっとした毛を持っていて、持ちあげてみると想像しているよりも軽い。この間薄い茶色の毛にかなり白い毛が混じっているのを見つけて、ネコも白髪があるんだと気づいた。
とまぁ、そんな猫の金治は、結構な年齢なのかあまり動かない。暖かい場所でひがなのんびりしている。
そんな金治がだ。
真夜中になると、うちのベランダで猫の集会を始める。
私がくたくたの体で帰ってきて、1時を過ぎてようやくベッドの中に潜り込む。
すると、それほど時間を置かずに、ベランダの外に猫が集まってくる。私はそれをきちんと見ているわけではない。賢い金治に気づかれてはマズいと薄目をその様子を探るのだ。
部屋は暗く、外は街頭の明かり。
カーテンに黒い影が一つ二つと浮かび上がる。そして小さな猫の鳴き声がいくつか漏れ聞こえてくる。
普段の金治は寒さからそれほど窓辺には近づかない。けれど、ベランダに猫が集まるとのっそりと動きだす。ゆったりとした足取りで、ベランダの前まで行き、そして体をゆっくりとおく。
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