1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
真夜中に目は覚める
目が覚めると、首の後が冷たい汗で濡れていた。湿っていたというほどではなく、ビッショリと濡れていたんだ。鼻息も荒く、鎖骨から胸へかけて胸糞の悪い想いが充満していた。
そして、一筋、左目から涙が零れ落ちた。
鼻から息を大きく吸って、肩が震えて、口から大きく息を吐いた。
これで、なんとか落ち着いた。
そう思いたかっただけかもしれないけれど。
とにかくボクは再びベッドに横たわり、タオルケットを肩まで被って、眠ろうと試みて目をつぶった。
心臓の音は早まっていない。脈も落ち着いているんだろう。もう息も荒くない。汗もかいていない。
だのに、やっぱり眠れないんだ。
天井に向かって仰向けになって、息を大きく吐いた。
気持ちはもう落ち着いているはずだ。
そういえばどうして目が覚めたんだ。
こんな真夜中に。
嫌な夢を見ていたはずだ。
…どんな?
あれ、思い出せない。
えーと、んーと、あれ、まったくもって思い出せない。
ベッドから半身飛び起きるほど、汗でビッショリ濡れるほどに怖い想いをしたはずなのに。
えーと、なんだっけ、どんなだったっけ、なんで思い出せないんだ。
ついさっきのことじゃないか。
んーん、気になって眠れない。
最初のコメントを投稿しよう!