社会人の煙

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琉太に少なからず友達はいるが、最も気が合うのは、幼稚園の頃からの親友亮だった。 琉太も大人しいだけに親友の亮もかなり大人しく、本好きで運動が苦手な子だった。 だか、亮は琉太と違い負けず嫌いの顔を持つ。 小学校に上がった同じクラスの子で二輪車に乗れないのが亮だけであると知ったとき、亮は琉太にこう宣言した。 「二学期までには自転車に乗れるようになる!琉太、付き合って!」 そう言われたその日の放課後から琉太は家の近くの公園で亮の練習に付き合うことになった。 琉太は補助しながら亮の練習に付き合うが、亮は何度も転び擦り傷を作る。 それでも亮は諦めずに何度も何度も練習を繰り返した。 二時間もやっていれば、日も暮れはじめる。 「亮、あとは明日にしよう」 琉太も汗だくだったが、亮も汗だくだった。 「……うん。明日も付き合ってくれる?」 少しだけ不安そうな顔を見せる亮に琉太は微笑みを返す。 「当たり前だろ。出来るまで何日でも付き合うよ」 亮はホッとした顔を見せる。 その顔は土で汚れていた。 「ありがとう」 二人は、その後それぞれの家に帰る。 琉太が帰宅して、リビングに顔を出すと家族たちがテレビのニュースを見ていた。
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