社会人の煙

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母とばあちゃんは夕飯の支度をしているらしい。 テレビはやはりニュースが流されており、また『過労死』について討論していた。 「父さん、過労死って何?」 「働き過ぎで亡くなることだよ。どうやら、この近くの人らしいんだ」 「死んじゃうほど頑張ったの?」 「いや。死んじゃうほど頑張らされたんだ」 「無理矢理?」 「そう。無理矢理。琉太も頑張りすぎるなよ」 琉太の頭につい亮の顔が浮かぶ。 「頑張ることはいけないことかな?」 「いけないことじゃないよ。だけど、頑張りすぎて誰かを悲しませるなら、その頑張りは間違いじゃないかな?」 分かるような分からないような気がするが、亮の頑張りは人を悲しませるものではないと分かるので琉太はホッとする。 その晩、琉太はなかなか寝付けなかった。 布団の中でゴロゴロと動き回る。 大地が来るような予感があったからだ。 だが、大地はその晩は現れずに琉太もいつしか眠りについていた。 大地は今回は来ないのだろうかと朝目覚めたときに真っ先の思う。 すぐにそれは良くないと己の両手で頬を叩いた。 その日の放課後、昨日に続き亮の練習に公園で付き合う。
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