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亮に本当のことを教えても問題なさそうだと琉太は、大地のことを詳しく教える。
「そうなんだ。煙の未練か……」
驚きもしない亮に安心感を琉太は覚えた。
もう自分一人だけの秘密ではないと。
「着いた。ここだよ」
そこは会館で葬儀が行われているようだった。
受付で喪服を着た人たちが、会社員のような人たちに頭を下げている。
「よし」
大地は右手をあげると煙らしきものが大地の手に集まり、伝って地へと降りて、それは一人のスーツの男性へと変わった。
その男性は、受付でやり取りしている人たちに向けて土下座をした。
「大地、この人の未練って何?」
何が起きているのか分からず琉太は大地に聞いた。
「この人は会社の都合で過労死した人だ。そして受付にいるのは、この人の家族でスーツの人たちは上司だ。会社に迷惑をかけたことと家族をもう守れないことを謝っているんだ」
「おかしいよ!」
そう叫んだのは亮だ。
「なんで会社に殺された人が頭を下げるんだよ!悪いのは会社でしょ!そんなのおかしいよ!」
その言葉は受付の家族と上司たちにも届いたようで、上司たちはばつの悪そうな顔ですごすごと受付を立ち去る。
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