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「大ばあちゃん……」
ぽつりと琉太から漏れた声。くぐもった声。
ぽたりと落ちる滴。
ぐっと拳を握り、歯を食い縛る。
ぐしと腕で目を拭う。
奥歯をぎゅっと噛み締めても涙が溢れる。
「うわぁぁぁ!」
琉太は声をあげて泣いた。
大ばあちゃんの目は二度と開かないのだ。
その手で琉太の頭を撫でてくれることはないのだ。
琉太の母が琉太をそっと抱き寄せる。
「我慢しなくていいからね」
ひっくひっくと琉太の喉が鳴る。
「大ばあちゃん!大ばあちゃん!」
琉太の頭に母が手を置く。
琉太の母もばあちゃんも琉太が泣くままに任せた。
病室であるから怒られるかとも琉太は思ったが、つい涙を止めることが出来なく、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。
夢の中では、大ばあちゃんが琉太に声をかける。
「男の子だって、泣きたいときは泣くのがいいんだよ」
その言葉を聞いて琉太は夢の中でさえも涙を流す。
「大ばあちゃん、僕を置いてかないで……」
「おや。こんな年寄りを頼ってどうするんだい?大ばあちゃんを安心させてくれないのかい?」
悪戯っぽく笑う大ばあちゃん。
琉太は夢の中でも、ぐしと腕で涙を拭う。
琉太はにかりと笑って見せた。
「大丈夫だよ」
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