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残された家族たちは歯を噛み締めているようだった。
会社員の煙は、土下座をしたまま、フッと消える。
「あれが社会なんだ。琉太も亮もあんなの許す大人になるなよ。家族を悲しませるなよ。さて時間だ」
大地の体が消えていく。
未練を晴らす仕事を終えた証拠だ。
「頑張って誰かを悲しませるなんて悲しすぎるよ」
亮のその呟きに琉太は、亮は頑張りすぎることはないと気付いた。
琉太が亮に視線を送ると、亮は頷いて歩きだす。
「自転車の練習、そこそこに休憩するから」
「そうしよう」
公園に戻っていく二人。
まだ幼い二人は、世の中の理不尽をまだ知らない。
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