料理人の煙

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亮の二輪車の練習に付き合って一週間。琉太は何かしらの達成感を抱くようになった。 亮の二輪車の腕は決して上達はしていなく、すぐに転ぶ日々だが、亮が頑張る姿を支え応援することに嬉しさを覚えていた。 毎日、泥だらけで帰ってくる琉太を見て、はじめは心配そうな家族たちもやっと子供らしくなったと大ばあちゃんがいなくなった悲しみが拭えてきたのだと今では笑って見ている。 「ただいま!」 前は静かな穏やかなその言葉は、今でも空に響くくらいの高い声。 「亮くん、少しは乗れるようになった?」 「全然!」 母の問いかけにさらりと答える琉太。母は一瞬呆れてしまうが、笑みが漏れてしまう。 「そんな元気に言わなくてもいいでしょうに。亮くんに怒られるよ?」 「亮だって分かってるよ。でも大丈夫。亮は努力家だから乗れるようになるよ」 幼い友情。そういう信頼。 母の頬に苦笑ではない微笑みが浮かぶ。 「さぁ、お風呂入っておいで。体洗ってから湯船に浸かるのよ」 「はーい」 琉太が泥だらけで帰るようになってから一番風呂をいただくのは琉太だ。 脱衣所にはすでに琉太の寝間着と下着が置かれている。
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