21人が本棚に入れています
本棚に追加
農園は火葬場の横。
農園へと足を踏み入れる。
沢山の木が並ぶ農園。どうやら、りんごの畑のようだが、琉太の向かう先はその先。
「坊主、どうした?」
琉太の背筋が凍る。突然に声をかけられて固まるが、畑である限り人がいてもおかしくはない。
「け、煙が……」
「煙?」
琉太は林を指差す。
「あ、あっちに」
声をかけてきた年配の男性は林を見やる。
「そうか。気付いたか。どうやら構わないようだから、ついておいで。私は高橋という者だ。君は?」
「琉太です。今日、火葬場に来てて……」
「そうだろうな」
高橋はそう言って琉太の先を歩いて林に入る。
琉太が続いていったその先に一人の少年がいた。
黒いスーツに身を包んでいるが年のころは琉太とそう変わらないようだ。
「父さん、ありがとう。気付く子だから
、誤魔化しは効かないだろうから」
「君は?」
「僕は大地。はじめまして」
「えっと僕は琉太。はじめまして……」
琉太は、つられて自己紹介をしてから高橋に視線を送る。
「煙は……」
「まぁ見てなさい」
そう言われては何も言えなく、大地に視線を送る。
その大地の周りに煙が纏わりつく。
最初のコメントを投稿しよう!