ポチ

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 夏休みは、実家に帰る予定ではなかった。 大学に進学して、すぐに彼女ができて、昨年も一昨年も彼女と過ごしていたが、今年の夏休みになる前に振られてしまった。  元々、地元は田舎で何も無いところだからあまり好きではなかった。 今まで親に何と言われようとも帰郷しなかった息子が、急に帰ってきたので、最初は母親も嬉しそうではあったが、息子の居る生活に慣れてしまったのか、長期にわたって実家に居ると余計な家事が増えると、愚痴を垂れてきた。  こんな扱いを受けるのなら、帰郷せずにバイトでもしていればよかった。しかも、何かと言えば、ブラブラしているんだからと、野暮用を押し付けられた。今日も、その野暮用に駆り出されることになる。 「ねえ、絹代ちゃんと全然連絡が取れなくなったの。アンタ、様子を見に行ってくれない?」 「え?絹代叔母さん?へぇ~、電話魔の叔母さんが連絡をよこしてこないとは珍しいね。」 「そうなのよ。変でしょう?」 絹代叔母さんは、母の妹で、独身。山奥で一人暮らしをしている、ちょっと変わり者の叔母さんだ。一人で暮らしている割には、寂しがり屋で、しょっちゅう母に長電話をしてきていたのだ。     
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