気にしないなんてまだできない

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 転校二日目にして、なんだか暗い気分になってしまった。わかっている。伊丹は悪くない。きっと本当に人の目なんか気にしていないのだろう。  だからこそ、ああいうことができる。それがおかしいことだと微塵も思わない。  でも、違う。″私のは″そんなレベルの話じゃない。  外側に張り付いた仮面は憐れみの表情を浮かべ、中身は侮蔑の面をしている。 同情の言葉さえも気持ち悪かった。  …やめよう。こんなことを考えてもしょうがない、時間の無駄だ。自分でそう結論付けたじゃないか。もう学校は目の前だ。切り替えて行こう。  校門をくぐり下駄箱へと向かう。 「むっちゃーーーん!」 後ろの方から大きな声が聞こえた。女の子の声だ。誰かを呼んでいるのだろう。 「むっちゃんてばーー!」 ほらほら、″むっちゃん″とやら呼んでいるぞ。 「おーい、むっちゃんたらーー!」 ″むっちゃん″はなかなか気づかないらしい。結構大きな声で呼んでいるのに。 「むっちゃん、むっちゃーーーん!」 声の主はこちらの方へ走って来ている。私の近くに目的の人はいるようだ。 足音はどんどん近づいてき、次第に声も近くなる。
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