黒は美しい色

4/4
前へ
/4ページ
次へ
飾り気のない薄汚れた服しか着せられることのない私は、周囲が寝静まった後、与えられた部屋へと帰る。 横になれるだけの埃まみれなこの部屋が私の唯一の居場所。 「ねぇ、私もキレイになりたい」 開かない窓から覗く真っ暗な空で無数に輝く星たちに、毎夜語りかけながら眠りにつく。 星たちからの答えはないけれど、星たちのお喋りは温かな陽が現れるまで私の体へと降り注ぐ。 『黒は美しい色なのよ』 冷たく凜とした空気の中でも、優しく仄かな光りが黒く煤汚れたままの私を温かく包んでくれる。 ~fin~
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加