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飾り気のない薄汚れた服しか着せられることのない私は、周囲が寝静まった後、与えられた部屋へと帰る。
横になれるだけの埃まみれなこの部屋が私の唯一の居場所。
「ねぇ、私もキレイになりたい」
開かない窓から覗く真っ暗な空で無数に輝く星たちに、毎夜語りかけながら眠りにつく。
星たちからの答えはないけれど、星たちのお喋りは温かな陽が現れるまで私の体へと降り注ぐ。
『黒は美しい色なのよ』
冷たく凜とした空気の中でも、優しく仄かな光りが黒く煤汚れたままの私を温かく包んでくれる。
~fin~
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