Polaris

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最近ついてない。 バスは遅れるし、財布は無くすし、珈琲は零すし、好きな映画は観損ねるし。 今日だって。せっかくの休みが、もうこんな夜になってしまっている。 仕方なく私は近所のコンビニに向かう。 缶ビールと、柿の種と、梅おにぎりが一つ、ビニール袋の中で揺れていた。 街路樹の並ぶ帰り道を、私は気儘に歩く。 気儘だと思いながら、暗い夜道を歩く。 見上げた空には、ぼんやりと輪郭があやふやな満月が浮かんでいた。 「コンタクト忘れたか」 また、ついてないな、とか。コンタクトはちゃんと付けているのに。とりあえず何かを言い訳にして逃げてみる。 でも視界は歪んでいて、足元も覚束(おぼつか)なくて、思わず立ち止まった道の真ん中で、携帯が光っていた。 暗い夜道に光る液晶は、まるで六等星みたいな優しい光で、きっと君の優しさと、どこか似ていた。
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