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私は十二歳の頃、森に殺してもらえるはずでした。
生きているだけで息苦しさを感じていました。表立って迫害されているわけではないのに、学校にも家にも、なんとなく居場所がない。勘違いだと思い込もうとしても、自分だけが世界の仕組みから弾き出されたような感覚でした。
勉強も、運動も、友達付き合いも、うまくいきませんでした。かろうじて周囲と合わせるのに疲れてきた頃、みっともない自分と向き合うのが嫌になってきた頃、私は、教室と絶交しました。
気持ちをごまかしたい。家から何十分か離れた場所の森に立ち入ったのは、ただの気まぐれでした。たくさんの木々は、ただ静かに私を受け入れてくれました。沢を流れる水たちも、私を慰めたり、お説教したりなんてしませんでした。
よほど居心地がよかったのでしょう。草葉を布団にした私は、いつの間にか、眠りに落ちていました。安らかさは時の流れを軽くしてくれて。まぶたを開けると、私を取り囲んでいたのは、夜でした。自分の浅はかさを後悔するまでに、そう時間はかかりませんでした。
(……やっちゃった)
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