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 不思議とまた頑張れる気がして、私はたしかにうなずきました。ぎゅっと繋いだ手は、初めてという気がしませんでした。はさりと、私の視界が今いちど、黒い傘で隠されました。雨は晴れていたのに。  再び景色が戻った瞬間、私が立っていたのは、自宅からわずかばかり離れた住宅街でした。驚愕。どうやったのと尋ねたくて振り向いた先。お姉さんは、どこにもいなくなっていました。またねを伝えられなかった分、強く印象に残る記憶となりました。 (恥ずかしがり屋なのかな)  夜を上手に分けてくれるお姉さん。また会えたらいいなと感じました。だけど、二度目が私の命日になるなら、もう会えないかもとも考えました。変われる。強くなっていける。そんな感覚は嘘ではなかったからです。
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