2/11
前へ
/17ページ
次へ
 自宅に戻った私は、日常に巻き込まれていきました。大丈夫。私だってやれるんだ。みんなと同じように生きていけるんだ。信じていました。努力だって重ねました。みんなができているのに私にできないはずがない。根拠のない自信だって持ちました。  でも、だめでした。月日が過ぎていくごとに、全ては思い違いだったんだと気付いていきました。中学生になったのに、相変わらず情けないまま。居場所のない感覚。テストの結果や将来の進路。現実的な事柄を突きつけられていくたび、死んだはずの生きにくさは、私に絡みついて体を重くしていきました。  いちばんなりたくなかった私は、いつの間にか、いちばん近いところにいました。無邪気さなんて失った中学三年生。かわいげもなにもない。それでも、どうせ死ねば帳消しだからいいかと、私はある意味では楽観的でいられました。 (……よし)  空の暗さを合図に、ひとり座っていた公園のベンチから立ち上がります。友達の家に泊まるね。テスト勉強してくるね。家族には、いくらでも言い訳ができました。思春期特有の憂鬱だと言われれば否定はできません。それでも私は誰よりも、自分は普通になれない人種なんだと理解できていました。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加