毎夜の徘徊~湿度を求めて~

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 ――若い二人は夜な夜な家を抜け出して、月明り差す熱帯夜の下、喉の乾きすら忘れて溺れるように求め合う。  その一説を読んでほうっ、となった。首筋を伝う汗を月光が照らす情景をイメージした。昔の人は夏の暑さと情熱をかけていたような感がある。湿度も重要なファクターなのではないか。  私も、そんな恋をしてみたい――。バイオスーツで体温を上げて汗だくになればいいというものではない。シチュエーションが大事なのだ。  だから私は出会いを求めて毎晩のように夜を彷徨う。
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