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私の日常~天才ナノテク技術者の卵~
私は来年早々に大学受験を控える高校生だ。将来は医療系ナノマシンの開発に携わりたいと考えていえるから進学先は絞っている。
ずばり、昨日出会ったイェンと同じ大学だ。まさに運命!
ただ、そこには巨大なお邪魔虫(バグ)もいるのだ。
「リリ、昨日も夜中に外出したのか? 感心しないな。受験に向けて研究を続けろ。お父さんは忖度なんてできないからな」
「はいはい。遅刻する前にもう出かけたら」
「問題でも起こしたら、せっかく取得した予備研究員の資格も剥奪されかねんぞ」
「それこそ忖度だったんじゃないの?」
毎朝リビングで顔を合わす度にお小言がナノマシン並みの勢いで生成されてくる。
更科トシヒコ教授。私の父だ。信じられないことに今の日本でナノテクの権威となると父の名前が必ず列挙されるほどらしい。私からすれば、嫁を早くに亡くして再婚もできず、娘に小言をいうばかりの女々しいおじさんだ。
午前零時調度。その日も山の頂上に向かった。
「これ、お土産だよ」
「ナノボットの散布装置……かな? 素材が特殊だ。プロトタイプか何かかい?」
「まぁ出所は内緒」
イェンは目を見開いて喜んでくれた。
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