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「違うって!
だって、俺がさっきやった時も声がしたもん!」
やっぱり。
健くんはこれが二度目なんだ。
「俺がやるから聞いててよ!本当に返事が返ってくるから」
だが、健くんは視えていないのだ。
男性の霊。
その正面に健くんが仁王立ちになる。
今思えば霊感の中でも健くんは、声や音に霊感が働く、霊聴が得意なタイプだったんだろう。
「みんな見てて!
はーなーこーさん、いち、に、さん!」
……………………。
男性の霊は今度はニヤニヤとしながら返事をしなかった。
健くん、負けず嫌いだし。どうするんだろう。
「………はぁーあーい!」
こいつ!やりやがった!
こともあろうに、健くんは私の身体に隠れ、腹話術をするように甲高い声で花子さん役を自らやってしまった!
「ぎゃぁーーー!!」
「怖い!」
蜘蛛の子を散らすように、美菜子ちゃんまでも逃げて行く。
その様子をふんぞり返るように見て、健くんは私の横に立っていた。
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