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「さっきはありがとな!お前が返事してくれたんだろ?」
していない。
緑のドアのおじさんは急に暇を持て余したようにしょんぼりと壁から生えたまま。
私たちを見ている。
あまり大事にしない方がいいのだろうとは幼心に感じた。
「う、うん。みんなびっくりしてたね!」
健くんの一回目と、皆で来た放課後の一回目はおそらくあの男の霊なのだろう。
花子さんがどうして男性なのか、どこでどう間違って伝わってしまったのか…くすりと笑えた。
その頃は。
「花子さん、いち、に、さん」
霊が出てほしい。
面白い。
遊びだから。
それに気付いた悪戯な霊が気前よく参加するのだ。
花子さんなんかじゃない。
今回は無事だったが、緑のドアから出るモノは、次もその男とは限らないのだ。
これは一種の降霊術なのだから。
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