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エピローグ
バスは真夜中の高速道路をさらに北上していく。あたりはうっすらとあけ始めてきた時、
「将太さん、あの、ごめん、なさい」
震える声で比奈子が謝ってきた。
「どうしてこんなイタズラしたの?」
「ごめんね。ちょっとからかうつもりだったの。夜中のバスなら視界も悪いし気づかないかなって」
「まったく」
おてんばでいたずらが好きなのは相変わらずのようだ。ところが、
「愛されてるお姉ちゃんがうらやましかったからっていうのもあるんだけどね」
「……!?」
思わぬ言葉に驚く。意外に鋭いんだと思った。
「あんないたずらしちゃったから、お姉ちゃんが化けて出て来ちゃったのかな……」
比奈子を見るとカタカタと震えているのがわかる。本当に怖かったんだろう。
「青森に着いたら、法事の前にお姉ちゃんのお墓まいりに行こう。ちゃんと謝らないと」
「うん」
「大丈夫、比沙子さんは悪霊になんかなってなかったからね」
震える手を握ってあげると、少し心が落ち着いたのか、比奈子はあんどの表情を見せた。
比沙子さんが言っていた、比奈子をよろしくって、フォローしてって意味なのか、それとも……!?
「比奈子は彼氏いるの?」
「……、いないよ」
その返事を聞いたと同時に、比奈子は寝息を立てはじめる。よろしくの意味を考えながら、僕はまどろみの中に身をまかせたのだった。
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