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PM6:00--。
駅前には30名程の高校生が集まった。
空はまだ明るく、辺りが見渡せる。
足元がまだ見えるうちに僕らは出発した。
青龍寺は顧問の先生が懇意にしているお寺だ。
先生と住職は高校時代の同級生とのことで。
住職のご厚意で毎年、青龍寺の境内で天体観測をさせてもらっている。
青龍寺までは舗装された道路もあるのだか、そこを歩いていくと大幅に遠回りになる為、僕らは近道の山道を歩いていく。
案の定、厚底の草履で土の地面は歩きにくいようで。
彼女一人、遅れ始めた。
「渡辺! 先行って準備しといて」
前を歩いていた副部長の渡辺は返事の代わりに大きく手を振った。
さて--。
部長である以上、参加者が観測場所まで無事に辿り着けるようフォローしなければならない。
僕は列の一番後ろを歩く彼女のところまで降りた。
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