37人が本棚に入れています
本棚に追加
古着屋さんのアルバイトを終え、家に向かい歩いていると、前から歩いて来た男に声をかけられた。
「あの、今一人ですか?」
その声は弱々しく、少し震えている。
そんなに怖いなら、声なんてかけなきゃいいのに。
「見ての通りですが」
声をかけられた事が久しぶりな上に、普段から同僚としか話をしない私も、少しどもってしまった。
「友達からでいいです。よかったら連絡先教えてもらえませんか?」
その男は、男性という表現はあまりしっくり来ないくらい、まだ幼さが残っている。
黒くて少しパーマがかかった髪にさわやかな服装、地味なリュックを見る限り、その中には教科書や参考書が入っているのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!