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歳はたいして変わらない気がするが、私なんかとは正反対のタイプのはず。
「別にいいけど、何で私?」
何かを企んでいるのではないかと疑ってしまうくらい、彼は私には似合わない。
「ただ、気になったんです。」
そりゃこんな化け物みたいな顔した女、気になるだろうけど...。
口元には5個、鼻には牛のようなリング状の、鼻筋と眉には一つずつ、今は隠れているが耳にも20個程ボディピアスが着いている。
「好奇心ってやつね。ま、いいよ?暇だし。飲みにでも行こうか?」
チャラチャラした頭の悪そうなやつなら無視でもしたところだが、この子は体目的ではなさそうだ。
そして何より、どうしてこんなに真面目そうな子が、私なんかに声をかけてきたのかが気になった。
「いいんですか?!」
一瞬にして男の子の顔が明るくなる。
まるでおやつをもらった犬みたいだ。
ちょっと、可愛い。
「うん、適当に入ろう。」
私がそう言うと、
「はい!」
と言って彼は隣に並んだ。
ある程度の距離を開けて歩く私に、彼は無理に近づいて来ようとはしなかった。
フラフラと良さそうなお店を探しながら二人で歩く。
辺りは暗くなり、金曜日という事もあってか同じように飲み屋を探しているような人が増えてきた。
女の子はしつこいキャッチに捕まり、ホストの様な男達はグループで集まり携帯をいじっている。
私達の横を通る人は皆、珍しそうに、もしくは不思議そうな顔をして目で追って行く。
私は一人で歩いていてもジロジロと見られることはよくあるのだが、隣を歩く真面目君は
「何か見られてますね」
と楽しそうにしていた。
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