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「見た目で言ったらサキなんてさ、魔法学校の校長先生とかがしっくり来るよ」
拓也はそう言うと、鼻で笑った。
言ってやったり、としっかりと顔に書いてある。
「まぁ、本当は魔女だからね」
私が真顔でそう言うと、拓也はケラケラと笑った。
誰かと話しながらお酒を飲むなんていつぶりだろう。
色々と話しながら、一杯、二杯とお酒が進んでいく。
今日知ったことは、拓也は私の1つ下で20歳、大学生ということ。
私には分からないが、かなり有名な大学らしい。
いたって普通の男の子だった。
私は自分の事はあまり話さず、拓也の大学の話を聞いていた。
大学という存在自体に私は興味津々で、授業の話、友達の話、サークルの話など、とにかく全てが知らない事ばかりで、とても新鮮だった。
時間を忘れて飲んでいると、気がつけばもう時刻は0時を回っていた。
「拓也、もう12時だよ。大丈夫?」
拓也も相当飲んでいた。
会ったばかりの時のさわやかな青年はどこかに消え、今はなんだかフニャフニャとしていて可愛らしい。
「やだよー俺、サキと離れたくないんだもん」
呂律が上手く回っていない。
何故だろう、胸の当たりが熱くなる。
お酒はもう、飲んでいないのに。
「それ以上飲んじゃダメだよ。ほら、とりあえず出よう」
何とか拓也の体を立たせ、二人分のお金を払い店を出た。
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