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「驚かれましたか…」
老人の掠れた声が耳に届く。まるで耳元でささやかれているように感じる。
ふいにこの場にいることが、急激に不安に思われ、私は立ち上がった。
「驚かれるのも無理はないでしょう。ここはあなたの夢の中なのです。まあ、お座りなさい」
老人は私に諭した。
「夢…」
夢だと知って私は少し落ち着きを取り戻した。老人の顔を見ると、私の座っていた座布団をじっと見ているので、私は仕方なく再び座布団に座った。
「あなた…。私の話を聞く準備はできていますよね」
老人は再び口を開いた。
「準備…?僕がなぜあなたの話しを聞かなくちゃならないんです」
「聞いていた方が、今後のためによろしいかと」
老人はにたりと笑った。嫌な笑みだ。そう思った。
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