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「ここは…。先ほど話しましたように、あなたの夢の中です。しかし、あなただけの夢ではありません」
私だけの夢ではない? …一体どういうことだ。
「おや、お忘れですか。あなた昨日、ご自身の夢を売ったじゃないですか」
私が夢を売っただって…。
目眩がする。頭に鋭い痛みが走った。
思い出した。あれか。昨日…。
人目につかないような路地裏に迷い混んだ。酔っていたのだ。
ふいに知らない男に話しかけられた。
「あの…。すいません」
「はい? なんですか…」
何とか応えたのだが、呂律が回らなかった。
「私に夢を売っていただけませんか」
不気味な男だ。向こうも酔っているのだろう。
「ははは。夢なんてどうやって売るんです?」
「いや、それは後にわかるはずです。ともかく、私に夢を売ってください」
何を言ってるんだ。私はそう思ったのだが、男の表情は真剣だった。
「わかりました。構いませんよ」
こんな不気味なやつに絡まれては困る。
適当に往なして帰ろう。私はその場を立ち去った。
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