取引

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「…じゃあ、今見ている夢で」 老人は目を見張った。 「…かしこまりました」 老人の嗄れた声が耳に伝わる。 その瞬間、老人の顔がぐにゃりと歪んだ。 襖が開き、体が闇に吹っ飛ばされる。 うっ…。 目を覚ますと、そこは、昨日に私が迷い混んだ路地裏だった。 家で寝ていたはずじゃないのか。時計をみると、夜の1時だった。 ポケットがじゃらりとする。 10円玉が3枚はいっている。30円。 あの夢、30円だったんだな。 あの老人は手間賃を貰えたのだろうか。 私はそう思いながら家路を急いだ。
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