取引

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襖が開いて、見知らぬ老人が入ってきた。 老人の顔は奇妙にも、初めて見る顔には見えなかった。老人は静かに目の前の座布団に座り、 私と老人は座敷に向かいあう形となった。 そもそも、私はなぜこの場に座っているのか分からない。 2畳分のスペースもないほど狭い部屋。4方向は襖に挟まれており、どことなく薄暗い。 天井は…なかった。 あるのかもしれないが、とてつもなく高いのだろう。 上を見上げても暗闇がつづいているだけであった。光はどこからきているのだろう…。 灯りなどはないのに老人の顔は、はっきりと見える。
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