第二章

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 義男は本当に嫌な奴だ。しかし、そうは言っても学校は寛大だから、先生も義男をキツクは叱ったりしないだろう。それに義男の気持ちはきっと、クラスの男子の総意に違いない。クラスの男子が嫌な思いをしたのも、その気持ちを恵にぶつけてしまうのも、全て恵自身の身から出た錆に違いない。そう、知朗は思った。みんなと適度な距離を保ち、無難に付き合う。そうやって、この一年、知朗は知らない土地で上手くやってきた。それを恵は壊したのだ、だから恵が虐められるのも仕方がない。そう自分に言い聞かせる知朗だったが、心のどこかに自分自身を許せない感情もあった。
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